この巻は完全に「外伝」ですね。幼い頃のフィリエルとルーンの出逢いの物語。もうすぐ8歳になるフィリエルの「家族」は、天文台に住む父親のディー博士と、お隣りのホーリー夫妻。人里離れたセラフィールドの住人は4人しかいないんです。そこに現れたのが、町に買い出しに行ったホーリーの旦那が旅芸人一座から救出してきた不思議な少年。
名前もなく自分の殻に閉じこもっていた少年は、ルーンという名前を与えられ、博士に数学の能力を認められ、ホーリー夫妻の愛情にも支えられて心を開き始めます。もちろん、彼を弟のように世話したフィリエルは、ルーンにとって特別の存在です。
ところが博士から普通の父親としての愛情を注がれたことのなかったフィリエルは、博士が弟子としたルーンを身近に置いて教育し始めるのを見て、嫉妬にかられてしまう。ついには激情のあまりに、ある行動に出るのですが・・。
フィリエルとルーンの幼い魂どうしが、しっかりと結ばれるまでの物語。本編のような派手さはありませんが、しっとりとして丁寧に書かれた小説です。本編よりもいいかも。^^;
2009/9