りぼんの読書ノート

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西の善き魔女3 薔薇の名前(荻原規子)

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異端の研究者として追われている幼馴染のルーンを潜ませる場所は、なんと首都の王立研究所。「木は森の中に隠せ」ということですね。時同じくしてフィリエルも、女王候補アデイルとともに首都の王宮へと上がります。アデイルの養家であるロウランド伯爵家は、フィリエルの存在を切り札として利用しようとするのですが、そこもまた2人にとっての安住の地ではありません。

老いた女王が姿を見せなくなった光輝く宮殿に渦巻くのは、派閥のかけひきであり、冷酷な謀りごと。女王の血をひいているものの正式な女王候補ではないフィリエルを妻として王の座を射止めようとするリイズ公爵の陰謀。彼女を守るために、ルーンは殺人に手を染めることになるのですが、これもまた別の陰謀が手を貸した結果の行為でした。ルーンは闇の中に姿を消してしまいます。

前巻の「女学校編」と本巻の「王宮編」では、作者は相当遊んでいますね。この世界の不思議さは小出しにしたまま、それぞれ学園、王宮という特殊な場所を舞台にした恋愛サスペンスはアニメ的でもあります。

でも隠されれば隠されるほどに、この世界の不思議さは際立ってくるのです。「異端」とはいったい何で、なぜその存在が忌まわしいとされているのか。南方に棲息している竜の存在が、この世界の鍵となっているようなのですが・・。次巻以降に期待です。

2009/8