りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

西の善き魔女5 銀の鳥プラチナの鳥(荻原規子)

イメージ 1

フィリエルとルーンの物語は、しばしお休み。この巻は、東の帝国ブリギオンの侵攻を止めるために東方の隣国へと使わされたアデイルの奮闘振りが描かれる物語となります。

アデイルは、彼女の学友であったヴィンセント(彼女も実は傍系王族の娘です)とともに、正使の侍女に扮して東方へと向かうのですが、そこで彼女らが見たものは女神を崇拝する正統派宗教から逸脱した、女神の息子を崇拝する土俗信仰であり、彼女らが出会ったのは隣国に亡命しているブリギオンに滅ぼされた亡国の王子。

しかも、そこにもまた陰謀があったのです。急進派レアンドラと、保守派アデイルの2人の女王候補のマッチレースだったはずなのに、その間隙を縫って超保守派の教会勢力が台頭して、アデイルを亡き者にしようとしている! 超保守派が祭り上げようとしているのは、なんと傍系王族のヴィンセント!

亡国の王子を中心とする一統は砂漠の傭兵となって生き延びているのですが、少年傭兵のティガに窮地を救われ、さらに傭兵隊まで味方につけてしまうアデイルの可憐さとしたたかさは、さすが女王候補。実はティガには隠された本当の身分があり、それはどうやらルーンの出自とも関係がありそうなのですが、そこまで言ってしまうとネタバレですね。本来の目的であった、ブリギオン軍侵攻を食い止める話は、彼らは南下したとのことで、完全に肩透かし。

この世界の秘密の探求についても「しばしお休み」となった、外伝として書かれた巻ですが、物語的には一番楽しく読めました。

2009/9