りぼんの読書ノート

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修道士カドフェル1 聖女の遺骨求む(エリス・ピーターズ)

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シュルーズベリの町を「通過」したことがあります。北ウェールズに向かう途中の雨の夕方。どこに泊まろうか迷いながらドライブしているうちに通過しちゃって、何の印象も残っていないのですが、カドフェルの舞台となった町ということは知っていました。だから、1泊してカドフェルのゆかりと設定されている修道院など見学しても良かったのですが、その時は、北ウェールズに向かうのを急いでいたんです。

本書はシリーズの第1作。十字軍に従軍したことがあり、豊富な薬草の知識を持つ型破りの修道士、カドフェルが、世間知らずのくせに権威意識だけはさかんな修道院の人々が手を焼くような難事件を聖職者の枠に囚われずに解決していく物語のはじまりです。

教会の権威を高めるため、ウェールズの田舎町に埋められている聖女ウィニフレッドの遺骨を引き取りたいと声高に申し入れた修道士一行でしたが、村人たちに拒絶されてしまいます。そんな中、反対派の急先鋒で村人から人望の厚い地主が殺害されてしまい、彼の娘との結婚を反対されていた若者に嫌疑がかかりますが、娘もカドフェルも、彼が犯人ではないと確信。

真犯人を探し出すだけでなく、教会も村人も満足させるような解決策が求められたカドフェルは、聖女ウィニフレッドの力を借りることにするのですが、いったいどうやって?

歴史ミステリですが、舞台だけ借りて「現代人」が活躍するようなものではなく、12世紀という時代背景も時代の気分もよく表わしているシリーズだと思います。強いて言えばカドフェル1人だけが「現代人的感覚」を持っているといえるのですが、そこは異色の修道士ということで許容せざるを得ませんね。

2008/10