りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

こころげそう(畠田恵)

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「こころげそう」とは「心化粧」であり、「口には言わないが内心恋こがれる」ことだそうです。あたしも、べるさんと同様に「こ、転げそう」かと思いました(笑)。

お江戸を舞台にした「男女9人恋物語」とでもいう内容。幼馴染9人には、それぞれに想い人がいるのに、どれもほとんど一方通行。しかもそのうち2人は、冒頭からいきなり亡くなってしまっているのです。

9人の名前と関係をあげておきましょう。
(男)宇多 :お江戸の町の下っぴき。於ふじに惚れています。
(男)弥太 :気のいい棒手振り。お染と恋仲ですが、お染の親は大反対。
(男)重松 :口入屋。おまつに惚れています。
(男)千之助:於ふじの兄。冒頭で殺されてしまいます。

(女)於ふじ:冒頭で殺されてしまうのですが、幽霊となって大活躍。
(女)お染 :大工の娘。煮え切らない弥太にやきもき。
(女)おまつ:茶屋の看板娘。弥太に惚れています。
(女)お品 :大店の娘。あまり登場しませんが、彼女が鍵を握っています。
(女)お絹 :宇多が居候している岡っぴきの娘。宇多に惚れています。

物語は、幼馴染たちの恋模様を描きながら、千之助と於ふじの兄妹が亡くなった理由に迫っていきます。なんせ、幽霊になって大活躍の於ふじ自身が何も覚えていないのですから、始末に終えません。ラストは決して誰にとってもハッピーエンドというわけではありませんでしたが、宇多は、於ふじへの想いを吹っ切って、妹のようにしか思えなかったお絹に目を向けることになるんでしょうね。

乞目(こいめ)とか力味(りきみ)とかの各章のタイトルも、お江戸の恋模様にふさわしい、軽いけれども楽しい作品でした。

2008/4