少々前にシリーズ第1作を読みましたが、鬼の長谷川平像の暗殺すらねらった大盗賊の「蛇(くちなわ)の平十郎」の件に決着がついていませんでしたので続編も読むことにしました。
「蛇の目」平蔵に恨みを抱いて意地になっている蛇の平十郎が目を付けたのは、田沼時代に金を溜め込んでいるはずの医師の家でした。しかし、あえて残虐な押し込みをかけたものの金蔵は空だったのです。もちろん一味は一網打尽。
「谷中・いろは茶屋」同僚から「うさぎ」と呼ばれる同心の木村忠吾が惚れた茶屋の玄人女に、好きな人と遊ぶ金を与えたる奇特な人物の正体は?ある晩、役宅を抜け出して遊びに出た忠吾は怪しい人物を見つけて後を負い、手柄を立てるのですが・・。
「女掏摸お富」今は足を洗って所帯を持ているお富が、再び掏摸を始めたのは、昔の仲間に脅されていたから。しかし約束の百両を用意した後も、一度戻った感覚を忘れられなくなって・・。
「妖盗葵小僧」知人の声色を真似て扉を開けさせて押し込みに入り、葵御紋の装束で家人の女を犯すという妖盗が江戸を跋扈します。葵小僧と名づけられた盗賊を捕まえられない火盗改の評判は落ち平蔵は焦ります。女性が辱められる事件の被害者は訴え出ないことがあるんですね。今も昔も。
「お雪の乳房」木村忠吾が惚れた女はなんと盗賊の娘でした。引退を考えて最後の盗みの準備を進めていた父親は困惑します。つくづく女運が悪い男だ!
「埋蔵金千両」自分の死を予感した盗賊が隠し財産のありかを妾に教えますが、名医の指圧によって体調が戻ると後悔してしまいます。欲にかられた盗賊も妾も、結局は墓穴を掘ってしまうのですが・・。
この巻から登場した「うさぎ」こと木村忠吾が、いい味を出していますね。ドラマでは尾身よしのりさんが演じていました。小房の粂八と相模の彦十は既に密偵として活躍していますが、他の密偵たちはいつ登場するのでしょうか。
2012/1