
1966年に放送が始まった「ウルトラQ」は、「ウルトラマン」に先立って特撮TV番組の嚆矢となった革命的な番組でした。本書は、その名作が誕生するまでの過程を描いたドキュメンタリーです。
1954年に「ゴジラ」を、1961年に「モスラ」を製作した円谷英二は、1963年に東宝から独立して円谷特技プロダクションを設立。映画からTVに軸足を移しつつあったものの、その道のりは平坦でなありませんでした。フジテレビの企画「WOO」は局側の事情で頓挫。TBSの企画「UNBALANCE」は、アメリカの「アウターリミッツ」や「トワイライトゾーン」を意識した怪奇シリーズでしたが、さまざまな意向が働いて怪獣キャラクターを前面に出すことに決定。かなりの手直しを経て、航空パイロットの万城目淳、パイロット助手の戸川一平、報道カメラマンの江戸川由利子をレギュラーとする「ウルトラQ」に編成し直されたそうです。ちなみに江戸川由利子を演じた桜井浩子は、後の「ウルトラマン」では科学特捜隊のフジ・アキコ隊員も演じています。
第1話「ゴメスを倒せ」に登場した古代怪獣ゴメスと原子怪鳥リトラに続くラインアップは、巨大猿ゴロー、巨大植物ジュラン、冷凍怪獣ペギラ、巨大亀ガメロン、岩石怪獣ゴルゴス、モグラ怪獣モングラー、大蜘蛛タランチュラ、人工生命M1号、風船怪獣バルンガ。古代怪鳥ラルゲユウス、隕石怪獣ガラモン、コイン怪獣カネゴン、未来人1/8人間、地底怪獣パゴス、怪人ケムール人、海底原人ラゴン、宇宙人ルパーツ星人、巨蝶モルフォ、大蛸スダール、貝獣ゴーガ、悪魔ッ子リリー、深海怪獣ピーター、四次元怪獣トドラ、異次元列車。
しかし予算とスケジュールには苦しんだようです。ゴメスのぬいぐるみはゴジラを改造したものであり、ほかにも同じ怪獣の再登場や再利用でしのいだ回も見受けられます。ロケ地やセットもコスト第一で選定され、費用がかかりそうな脚本は書き換えを余儀なくされたとのこと。ロケ弁はいつも塩むすびとタクワンだったとのエピソードには涙ぐましいものがあります。それでも日本中に怪獣ブームを巻き起こして「ウルトラマン」にバトンタッチした「ウルトラQ」は、数多くの特撮監督や脚本家を輩出し、現代に至る特撮テレビ番組の礎を築きあげました。本書を読みながら、YOUTUBEでの紹介動画を何本か見ましたが、どれも今でもワクワクできる作品でした。
2026/9