りぼんの読書ノート

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となりのクレーマー(関根眞一)

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デパートの苦情処理係を長年勤め上げ、千件を越えるクレームに対応した著者が、クレーマーと呼ばれる難癖をつけて見返りを要求する人たちの実態を紹介した実体験本です。もちろん、クレームへの対応方法も。

「消費者サービス」とか「顧客満足」とかいう言葉も、毎日のように聞くようになっています。以前は苦情を言う人は、詐欺師とかヤクザとか、その道の人が大半だったようですが、今ではごく普通の人がクレーマーになるんですね。

ただ、理不尽な要求と、一般の苦情を見分けることは難しそうです。まずは誠意を持って対応し、金銭の要求など理不尽なことを相手が言い出すまで判断を留保するのが正解のようですが、それでは時間がかかってしまいます。

そこを早く見極めるために誘導尋問的なことを行い、相手に理不尽なことを言わせるよう仕向けるあたりが「プロの技」であるようにお見受けしましたが、本当にそれでいいのでしょうか。本当に困って普通に苦情を申し立てたのに、話の成り行きでクレーマーにされてしまった人もいるような気がします。

それはさておき、本当は、理不尽な苦情をなくすためにはどうしたらいいかを知りたいものですが、本書の範囲はあくまでも即物的な対応に限られています。経験談としては面白く読めますが、決して問題の本質には迫ってはいませんね。

それにしても、世の中にはとんでもない苦情を言う人もいるもんです。本文のデパートに対する苦情より、参考として出ていた学校への苦情のほうが悪質な感じでした。^^;

2007/12