りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ブロークバック・マウンテン(アニー・プルー)

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100ページ足らずの薄い文庫本でした。もともと、ワイオミングを舞台にした短編集の一作品だったものが、映画化を機に、これだけで出版されたもののようです。

でも、物語の良し悪しは長さではありませんね。2人のカウボーイ(イニスとジャック)の男同士の悲しい恋が、世間の不寛容な暴力に阻まれる物語が、余計なものを全てそぎ落とした簡潔な文体で描かれています。

冒頭で、老いたイニスが、ジャックの夢を見て嬉しく思う場面や。羊の番をする、まだ若い2人の友情が同性愛へと変わっていく場面。ジャックの部屋を訪れたイニスが、自分のシャツを発見する場面。このあたりは映像で見たら美しいんだろうな。生理的には受け付けないのですが・・。

ところで、友人と二人でワイオミングに行ったことがあります。イエローストーンとグランド・ティトンの両国立公園を中心にドライブ旅行してきたのですが、周辺の山も川も湖も、全てが素晴らしい景色の連続でした。アメリカ西部はワイルドでいいですね。あんな深い山に2人だけでいたら、たとえ同性同士でも、そんな気分になってしまうのかも?

著者には、この作品を含む、ワイオミングを舞台にした短編集があるとのことですが、邦訳されてはいないようです。

2007/10