大ベストセラー作家となったコーンウェルの新シリーズとのことですが、彼女の作品は最近どれも冴えませんね。
「検屍官シリーズ」だって『業火』をピークにしてその後は尻すぼみ。ただ、15年に渡って続けられているシリーズには重みがあります。たとえば第1作と最新作を読み比べてみると、この15年の間でいかにアメリカ社会が変わっていったのか、女性の地位がどう向上したのかを定点観測するかのような読み方もできるのです。
この本はどうなんでしょう。主人公のガラーノ捜査官(男性)には、あまり魅力を感じませんでした。出世欲に取り付かれた美貌の州検事のほうがまだ迫力あったけど、こういう女性も「検屍官シリーズ」に既に登場していましたね。
ストーリーのほうも、イマイチ。マサチューセツの検事局が、遠く離れたテネシーではるか昔に迷宮入りとなった難事件の捜査に乗り出すのですが、思わぬ捜査妨害と意外な真犯人の間に繋がりはなく、ちょっと薄っぺらい感じ。彼女の筆力は、もうこんなものなのでしょうか。
2007/9