りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2007/8 スコーレNo.4(宮下奈都)

毎年8月は、読書量が落ちるのです。夏休みで通勤日数が少ない上に、熱帯夜で寝不足気味になるせいもあって、通勤電車内での読書が進まないのです。今年は旅行もしましたしね。1人で出かける出張とは異なり、ずっと2人ですごす旅行の間にはそれほど本も読めませんから。

だからというわけじゃないけど、今月のベスト本は4冊にとどまりました。佐藤亜紀さんの『天使』と『雲雀』は、もちろん素晴らしいのですが、再読ですのでランキングからは外しておきましょう。
1.スコーレNo.4 (宮下奈都)
主人公・麻子の人生の中の4つの時間を「スコーレ(人生の学校)」として切り取った本書は、少女から大人の女性へと変わっていく彼女の成長過程をとってもみずみずしく描いてくれた、素晴らしい小説でした。家族構成や経歴は違っても、「この本は自分の気持ちを描いてくれた」と思わされた人も多いのではないでしょうか。

2.バーチウッド (ジョン・バンヴィル)
佐藤亜紀さんの翻訳で出版された、ブッカー賞受賞作。主人公が「じゃがいも飢饉」で苦しむアイルランドを放浪する第2部も迫力あったけど、ラストでわかる一族の秘密を知ってから読み返した第1部が、全然違った意味合いを帯びてくるのには驚きました。

3.最後のウィネベーゴ (コニー・ウィリス)
傑作タイムマシン小説『 犬は勘定に入れません 』の著者による中編作品集。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで、15年前に亡くした 愛犬の姿をはからずも見出すことになった孤独な男の物語である、表題作がいいですね。著者は「科学的知識はない」と語っていますが、優れたSFを生み出すのは、アイデアとストーリー展開力なんですよね。^^

4.シッピングニュース (E・アニー・ブルー)
不貞な妻の事故死でボロボロになったクオイルが、2人の娘を連れて祖先の地であるニューファンドランドで、「港湾ニュース」の記者として人生をやり直そうとします。時には残酷で、時には思いやりに欠け、時には互いに傷つけあいながらも、厳しい北の海で懸命に生きる人々。その中で、クオイルは立ち直ることができたのでしょうか?




2007/9/2