今月の1位は、スウェーデン発の傑作ミステリ・シリーズの『ミレニアム』。何より、全編を貫いて流れる著者の主張が素晴らしい。出版前の著者の急死によって、続編を期待できないことが残念でなりません。 佐藤亜紀さんの『激しく、速やかな死』は、「難解」という方も多いようですが、決してそんなことはありません。かなり楽しんで書いているのではないでしょうか。1.ミレニアム(スティーグ・ラーソン)
第1部はミステリ仕立て、第2部は社会派警察小説、第3部が謀略・法廷サスペンスと、エンターテインメントとしての各要素を備えながら、どれもが極めて高い水準を保っているだけではなく、「弱者に対する強者の横暴への怒り」という著者の主張を、現代的な視点で描き出したスウェーデン発の傑作ミステリ。やはり同国初の世界的な児童小説のカツレとピッピの「その後」とでもいうような、主人公たちの人物造形も魅力的です。
2.激しく、速やかな死(佐藤亜紀)
帯には「歴史の波涛に消えた思考の煌きを華麗な筆で描き出した」とありますが、むしろ「どうしてこの人物のこの思考をとりあげたのか」というテーマの選択に宗教や狂信者への不信や、嫌味で無粋な男に対する著者の皮肉を感じます。それらのテーマを、思わずクスッと笑ってしまうような作品に仕上げたところは、さすが佐藤さんですね。相変わらず、友人には持ちたくないタイプの方ですが・・^^;
帯には「歴史の波涛に消えた思考の煌きを華麗な筆で描き出した」とありますが、むしろ「どうしてこの人物のこの思考をとりあげたのか」というテーマの選択に宗教や狂信者への不信や、嫌味で無粋な男に対する著者の皮肉を感じます。それらのテーマを、思わずクスッと笑ってしまうような作品に仕上げたところは、さすが佐藤さんですね。相変わらず、友人には持ちたくないタイプの方ですが・・^^;
3.f植物園の巣穴(梨木香歩)
『家守奇譚』や『村田エフェンディ滞土録』と同じ頃の物語。f植物園で働く男が木のうろに落ちたことから、異界と交わっていきます。異端と混沌の世界で男の心は揺れ動き、苦しみや悲しみや愛おしさといったむき出しの感情に翻弄され、その感情によって過去を清算していくんですね。彼が失い、手に入れたものを知るときに読者が得るものは、「生命の連鎖」に対する深い感動です。
『家守奇譚』や『村田エフェンディ滞土録』と同じ頃の物語。f植物園で働く男が木のうろに落ちたことから、異界と交わっていきます。異端と混沌の世界で男の心は揺れ動き、苦しみや悲しみや愛おしさといったむき出しの感情に翻弄され、その感情によって過去を清算していくんですね。彼が失い、手に入れたものを知るときに読者が得るものは、「生命の連鎖」に対する深い感動です。
【その他今月読んだ本】
・シェイクスピア・シークレット(ジェニファー・リー・キャレル)
・西の善き魔女1 セラフィールドの少女(荻原規子)
・西の善き魔女2 秘密の花園(荻原規子)
・西の善き魔女3 薔薇の名前(荻原規子)
・西の善き魔女4 世界のかなたの森(荻原規子)
・災いの古書(ジョン・ダニング)
・国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖(河治和香)
・ストリップ・ティーズ(カール・ハイアセン)
・カフカ・セレクション1.時空/認知(フランツ・カフカ)
・ユダの季節(佐伯泰英)
・我らが影の声(ジョナサン・キャロル)
・ある秘密(フィリップ・グランベール)
・森に眠る魚(角田光代)
・ゴルディオスの結び目(ベルンハルト・シュリンク)
・老人と宇宙2 遠すぎた星(ジョン・スコルジー)
・奴の小万と呼ばれた女(松井今朝子)
・羊をめぐる冒険(村上春樹) 再読
・シェイクスピア・シークレット(ジェニファー・リー・キャレル)
・西の善き魔女1 セラフィールドの少女(荻原規子)
・西の善き魔女2 秘密の花園(荻原規子)
・西の善き魔女3 薔薇の名前(荻原規子)
・西の善き魔女4 世界のかなたの森(荻原規子)
・災いの古書(ジョン・ダニング)
・国芳一門浮世絵草紙3 鬼振袖(河治和香)
・ストリップ・ティーズ(カール・ハイアセン)
・カフカ・セレクション1.時空/認知(フランツ・カフカ)
・ユダの季節(佐伯泰英)
・我らが影の声(ジョナサン・キャロル)
・ある秘密(フィリップ・グランベール)
・森に眠る魚(角田光代)
・ゴルディオスの結び目(ベルンハルト・シュリンク)
・老人と宇宙2 遠すぎた星(ジョン・スコルジー)
・奴の小万と呼ばれた女(松井今朝子)
・羊をめぐる冒険(村上春樹) 再読
2009/8/30