りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ハル、ハル、ハル(古川日出男)

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「この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ」という断言的な書き出しは、サウンドトラックの疾走感を予感させてくれましたが、期待はずれに終わりました。

いや、疾走感だけは、それなりにあったのかな。ただ、もう内容についていけません。作者は後書きで「僕は完全に新しい段階に入った」などと言っていて、「生きている文章」で「世界との対決姿勢」を意図したとのことですが、その結果がコレですか。ちょっとヤバイ幻覚体験みたい。これならまだ、村上龍(嫌いだけど)のほうがマシかも・・。

「ハル、ハル、ハル」は、13歳の男、16歳の女、41歳の男の三人の「ハル」が出会って引き起こすクライムストーリー。「100パーセントの解放感。ざまあみろ世間」などと言われても・・。

「スローモーション」は、身長174センチのOLが、未来の自分に向けて発信する日記。これも、犯罪に対する犯罪で、破滅的に終わります。「8ドッグズ」は、年上の恋人との年齢差を埋めるために、8という数字を過剰に意識する男が、房総半島と『八犬伝』にとりつかれて、常軌を逸していく物語。これも、最後は犯罪ですね。

アラビアの夜の種族は良かったのに・・。

2007/7