りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

きみはポラリス(三浦しをん)

イメージ 1

「妄想の女王」三浦しをんがおくる、「極めつけ」のラブストーリー集。なせ「極めつけ」かというと、ここに登場する11編10組のカップルは皆、ちょっと「普通ではない」のです。

「永遠に完成しない2通の手紙」と「永遠に続く手紙の最初の一文」を冒頭と末尾に配してボーイズラブの気持ちに触れたかと思うと、「裏切らないこと」では、妻の息子に対する愛情に違和感を覚えながらも家族を裏切らない気持ちを抱く夫を描きつつ兄妹間の禁忌に触れる。

「私たちがしたこと」では殺人事件が引き起こした恋人同士の感情の変化を描き、「夜にあふれるもの」では殉教者のような一途な思いを持つ友人に対するガールズラブの気持ちを描きます。学問を志したことを認めてくれた恩師の骨を持ち歩く「骨片」の女性や、不実な夫を許しながらも自ら浮気をする「ペーパクラフト」の女性は、少々不気味。

本書のタイトルのベースとなった「冬の一等星」で、8歳の時に経験した奇妙な誘拐事件で、自分を守ってくれた犯人の男性に抱き続ける感情はわからなくもないし、「森を歩く」で、同棲相手の職業を知らず男の跡を追った女性が見つけた愛の形や、「優雅な生活」でロハスにのめりこむ(ふりをする)夫婦の気持ちには、微笑ましさを感じます。

でも一番微笑ましいのは、同棲中(?)の女性を巡る三角関係に悩む「春太の気持ち」ですね。だって、春太は○○○なんですもん(笑)。

2007/7