りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ニューオリンズの白デブ吸血鬼(アンドルー・ジェイ・フォックス)

イメージ 1

なんともひどいタイトルの本だけど「拾い物」でした。裏書にあるように「抱腹絶倒!前代未聞のヴァンパイア・ストーリー」なのです。

ニューオリンズは全米一の肥満都市だそうです。ここで、身寄りが無くジャンクフード食べ過ぎで脂肪分たっぷりな黒人ばかり襲っていた吸血鬼生活がたたって、体重210KGの超肥満体となってしまい、糖尿病の症状を心配しているジュールズ。タクシー運転手に身をやつしているのに、愛車キャデラックのハンドルには腹が引っかかり、階段では息切れし、コウモリに変身しても体重が重すぎて飛び上がれない!

え~っ!ニューオリンズといったら「Interview with the Vampire」でブラッド・ピットトム・クルーズが一緒に暮らしていた街じゃない! そのイメージが音を立てて崩れていく・・。

吸血鬼である正体を隠しているジュールズには、人間の友人もいます。人間を犠牲にしなくては生きていけないことに悩んでもいるのですが、惰性で日々を送っているだけでは、今の生活を抜け出すことはできません。

そんな彼が、黒人新参ヴァンパイアのマリスXに、つけ狙われてしまいます。ヴァンパイア仲間の掟を破り、麻薬ビジネスで市の大物たちも取り込んでいる極悪非道のマリスXに、めちゃくちゃにされても、愛するニューオリンズから出て行けないジュールズは、逃げ回るだけ。窮地に陥りながらも、狼に変身したとたんメス犬に発情してしまったり、肥満美女にクラッとしちゃうジュールズは、情けないこと、この上ない。自己管理も出来ず、欲望も抑えられない、典型的なダメ白人の彼も、愛するものを次々と失うに至って、ついに立ち上がるのですが・・。

ダメダメ中年男が、人生(吸血鬼ですが)をやり直す奇跡ということでは、奇跡の自転車と共通するところがありますね。今の時代に臨まれているテーマなのでしょうか。

2007/4