りぼんの読書ノート

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大統領特赦(ジョン・グリシャム)

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巨匠グリシャムの久々の新刊ですが、彼は、自伝的な要素の濃い名作『ペインテッド・ハウス』で燃え尽きちゃったのでしょうか。本書は得意の弁護士ものだし、『法律事務所』で見せたようなサバイバルサスペンスなのですが、ストーリーにキレがないし、結末だってあまりにも大雑把です。

大物フィクサーとして、全盛期にはワシントンに君臨しながら、ヤバイ軍事衛星のからむ政治的取引で罪に問われ、収監されていた弁護士ジョエルが、突然の大統領特赦で釈放されます。実はこれ、各国の諜報機関に狙われているジョエルを囮にして、彼が手がけた軍事衛星に絡む秘密を解明しようとするCIAの罠で、最後にはジョエルが殺害されることまで前提とされているものでした。マルコという名前を与えられ、CIA監視のもと、身動きできないボローニャでイタリア語をゼロから学び始めたばかりのジョエルは、CIAの監視と各国から押し寄せる暗殺者から逃げ切れるのか?

はい、北イタリア観光案内と、イタリア語入門としてお薦めです(笑)。だって、この部分がとっても長いんだもん。

ボローニャからの脱出劇と自由獲得のための駆け引き部分には少々グリシャムらしさを感じるものの、あれで各国の諜報機関は納得してるのだろうか・・。ともあれ、登場したパーツが、収まるところに収まりきっていないままのエンディングにはがっかりです。前作のコメディスキッピング・クリスマスよりはマシだけど、やっぱり彼は燃え尽きちゃったのかもしれません。

2007/4