りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

永遠の始まり 1(ケン・フォレット)

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20世紀をテーマにした「100年3部作」の最後にあたる、第3部の出版が始まりました。舞台は冷戦と公民権運動に揺れる1960年代であり、主役となるのは第2部の主人公たちの子供たちの世代です。

ベルリン。教師になっていた、カーラとヴェルナーの養女レベッカは、驚愕の事実を知らされます。夫ハンスの正体は秘密警察官であり、反体制派の烙印を押された彼女の家族を監視していたというのです。さらに悪いことに、ハンスはレベッカを愛するようになったと言い、離婚を拒みます。レベッカが自由を求めて西側への逃亡を計画したとき、ベルリンには壁が張り巡らされようとしていました。

ワシントン。グレッグとジャッキーの息子ジョージは、公民権運動に参加してアラバマで襲撃を受けてしまいます。司法長官ボビー・ケネディのスタッフとして採用されたジョージは、人種差別撤廃のため政界に入り、みずから国を変えることを決意。しかし彼の役割は、黒人に門戸を開いたという実績作りにすぎないのかもしれません。

モスクワ。ヴォロージャの甥ディムカは、フルシチョフのスタッフとなってクレムリンに勤務し始めます。そんな時、タス通信に勤務する双子の妹ターニャが、反政府集会に参加して逮捕される事件が起こります。ディムカに救出されたターニャは、ほとぼりを冷ますために、キューバへの転勤を命じられます。

ロンドン。ロイドとデイジーの息子デイヴは、女優を目指す姉エヴィと異なり、得意なことを見いだせずにいます。しかし彼にはギターの才能があるようです。

東西に分かれながら、それぞれの理想を追う若者たちを、冷戦の影が覆っていきます。アメリカの軍部と諜報機関は、キューバカストロ政権を打倒する戦闘を準備。クレムリンタカ派は、トルコへの核配備への対抗策として、キューバ核武装を決意。核戦争の脅威と恐怖が迫る中、彼らは何を考え、どう行動するのでしょう。

第1次大戦を中心に描いた第1部『 巨人たちの落日』、第2次大戦を中心に描いた第1部『 凍てつく世界 』と同様に、スケールの大きな展開ですが、このシリーズのもうひとつの側面である「恋愛模様」も相変わらず楽しめます。世代を繋いでいくのは「恋愛」なのですから。

2016/5