りぼんの読書ノート

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永遠の始まり 2(ケン・フォレット)

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キューバが焦点となって米ソ対立が激化しく中で、世界は核戦争の恐怖に包まれていきます。司法長官ボビー・ケネディのスタッフのジョージも、フルシチョフの補佐官のディムカも、それぞれの立場で戦争回避に向けて、必死の画策を続けます。世界を破滅から救ったのは何だったのでしょうか。ちなみに、この2人は同じ祖父を持つ従兄どうしなんですね。

ドイツではレベッカに続いて、弟のワルターも、命がけでベルリンの壁を越えていきます。レベッカ愛する人とともに、ワルターは妊娠した恋人カロリンを残して・・。一方で、第一次大戦後にイギリスから移住してきた祖母モードと、反ナチ活動を行った母カーラは、東ドイツに残る道を選び、カロリンの出産を手助けします。

ロンドンでは、ギターの才能を開花させたデイヴが、友人たちとバンドを組みました。興行師によってハンブルクでの公演に赴いたデイヴらは、ワルターと出会います。実は彼にも、ギターの才能があったのですね。彼らはビートルズではありませんが、ブリティッシュ・ロック・バンドとして成功への道を歩み始めるのでしょうか。

アメリカでは、キング牧師らによる公民権運動が最高潮に達しようとしています。司法長官の黒人スタッフであるジョージは、穏便に進めたいというケネディ政権の意図をキング牧師に伝えたものの、かえって牧師に惹かれていきます。20万人を集めたワシントン大行進で「I have a dream」の名演説が行われ、公民権法の成立へと気運が高まる中で、ケネディ暗殺事件が発生。

多くの人物が登場する群像劇ですが、時代の中心となる人物は自ずと決まってくるようです。第1部では19世紀的な階級社会に挑んだエセルとモードであり、第2部ではナチスの優性学に反抗したカーラでしたが、第3部ではジョージですね。著者は、20世紀を「解放に向かう世紀」と位置付けているようです。

2016/5