りぼんの読書ノート

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凍てつく世界 4(ケン・フォレット)

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いよいよ、第2部も最終巻を迎えました。

1943年。カーラがスパイとなったのは必然でした。フリーダの兄ヴェルナーが勇敢なスパイであり、決して腰抜けではなかったことを知って、彼への思いを新たにします。やがてヴェルナーが東部戦線に送られたとき、スパイ網を託されたのはカーラでした。ソ連の物理学者ゾーヤと付き合うようになったヴォロージャは、ソ連核分裂の研究で遅れていることを知らされます。ウッディーの弟チャックが、太平洋のブーゲンヴィル島で戦死。

1944年。ウッディーは空挺連隊に志願。少尉としてノルマンジー作戦に参加します。マンハッタン計画を担当するグレッグは、ロス・アラモスでスパイを摘発。ロイドは、戦後国会を目指すことをデイジーに告げます。ボーイはドイツの軍用列車を爆撃した際に戦死。

1945年。バルジで負傷したウッディーはワシントンに戻り、国連創設を目指す父親を手伝います。ヴォロージャはドイツに進軍する赤軍プロパガンダの過激さに驚きます。カーラの兄エリックも、恋人ヴェルナーも赤軍の捕虜に。撤退直前に収容者殺害を命じた収容所長を説得し、ユダヤ人少女レベッカを救ったカーラでしたが、赤軍もまた解放軍ではありませんでした。カーラは赤軍兵士に犯されてしまいます。

ドイツ降伏。ロイドは労働党から選挙に出馬して勝利。チャーチル退陣。原爆実験成功に立ち会ったグレッグは、ジャッキーとの息子ジョージーの教育を約束。ゾーヤとの結婚式の最中に広島のニュースを聞いたヴォロージャは、アメリカへと向かいます。科学者をスパイに仕立てて原爆の設計図を入手しますが、アメリカの自由を味わってしまいました。

1946年~1949年。国会議員としてヨーロッパの戦後復興に尽くしたロイドは、外務副大臣に昇格。娘エヴァを授かり、夫ロイドとともにホワイトハウスの舞踏会に紹介されたデイジーは、幸福感を味わっています。しかし、母親エセルの仕組んだロイドと父親伯爵との面会はうまくいきませんでした。

ゾーヤらソ連の物理学者たちも原爆開発に成功しますが、ヴォロージャはドイツの復興を妨げ、チェコのマサリクを殺害した共産主義に疑問を持つようになっていました。またベルリンであった異母兄弟のグレッグから出生の秘密を聞いてしまいます。

グレッグは政治の道を歩む決心をしますが、黒人のジャッキーを妻にできるのでしょうか。逆に、父親を手伝って国連設立に努めたウッディーは、家業ともいえる政治家の道に進まず、ジャーナリストとなる決意を固めます。

ベルリンのカーラは息子を生み、ワルターと名付けました。赤軍の捕虜から戻ってきたヴェルナーと結婚。ベルリン市会議員となって、共産主義者の暴力と無法に立ち向かうカーラは、既視感に襲われます。しかしクリスマスの夜に彼女は決意するのです。よりよい世界のために戦うと・・。

世界大戦が終わっても、世界はまだ凍りついたままのようです。20世紀をテーマにした「100年3部作」の最終第3部では、冷戦時代と公民権運動を経て、ソ連崩壊とドイツ統合の時代が描かれるのでしょうか。次に主役となるのは、第2部の主人公たちの子どもたちの世代ですね。

2014/10


(追記)
第3部もしばらく出版されないように思います。その時に読み返して思い出せるように、かなり詳細にストーリーをメモしておきました。結果としてネタバレになっています(笑)。