りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2014/10 凍てつく世界(ケン・フォレット)

巨匠ケン・フォレットが20世紀を描く「100年3部作」の第2部『凍てつく世界』は、臨場感にあふれた作品でした。近年パッとしない印象があったのですが、このシリーズで完全復活した感があります。やはり同じ時代を舞台にしたサーガ「クリフトン年代記」を著したジェフリー・アーチャーさんはどうでしょうか。とりあえず10月は第1部だけ読みましたが。

1.凍てつく世界(ケン・フォレット第1巻第2巻第3巻第4巻
20世紀をテーマにした「100年3部作」の第2部は、全4巻の大著です。第1次世界大戦前後を扱った第1部から10数年、再びきな臭くなってきた世界では、前作の主人公たちの子どもたちの世代が主役となっていきます。イギリスではエセルの息子ロイド。ドイツではワルターとモードの娘カーラ。ソ連ではグレゴーリーの息子(実は弟レフの息子)ヴォロージャ。アメリカではレフの娘デイジーと息子グレッグの異母姉弟に、ガスとオルガの息子ウッディー。彼らはそれぞれに、戦火の時代を生き抜いていくのです。臨場感が半端ありません。

2.本屋さんのダイアナ(柚木麻子)
金色に染められた髪、大穴というキラキラネーム、ティアラと名乗るキャバ嬢の母親、行方不明の父親。孤独な小学三年生のダイアナの楽しみは本を読むことだけ。一方で、理想的な家庭環境に育った優等生の彩子の趣味も読書。一瞬で親友になった正反対のタイプの2人は、かけがえのない友情を育んでいきます。全ての少女小説読者に捧げた「ダブル・ヒロイン・ストーリー」は、今年の直木賞候補になりました。

3.SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと(チャールズ・ユウ)
「物理法則が93%しかインストールされなかった世界」で、しがないタイムマシン修理工をしながら時間の狭間を漂っている「僕」は、タイムマシンから降りてくる自分自身を撃ってしまい、時間のループにとらわれてしまいます。脱出するには、救出を待つのではなく、自分の判断で選択すること。SFの装いをまとった家族小説かつ再の物語でもある本書は、円城塔さんによって翻訳されました。ほとんど共著のようです。


2014/10/30