りぼんの読書ノート

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ザ・インタープリター(ディビッド・ジェイコブズ)

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ニコル・キッドマン主演で、映画化されました。映画の原作を読むのも、結構好きなのです。

彼女が演じるのは、国連通訳のシルヴィア。国連で偶然、「ある国の大統領暗殺」の陰謀を聞いてしまうんですね。その国とは、民族虐殺の嵐が吹き荒れているアフリカの小国。おそらくモデルはルワンダでしょう。

シルヴィアは、その国とアメリカの二重国籍を持っているのですが、シークレットサービスの護衛にも、なぜか過去を語りません。彼女の過去が明らかになってくる部分が、この映画のおもしろい所。実は、彼女の過去こそ、大統領に殺意を抱いてもおかしくないものだったのです。

その国の部族が殺人犯を処刑するときは、手足を縛って川に投げ込むそうです。溺れる殺人犯を見殺しにするか、助けるかは、遺族の判断。復讐心の満足を優先させるのか、殺人犯の人命を救うのか、ここで本当に裁かれているのは遺族の心なんですね。助けることによって、悲しみは浄化されると信じられている。

最後に本当に試されたのは、シルヴィアだったのでした。バリバリのハッピーエンドではないところが、ニコルの美しさを際立たせているんだろうな、きっと。

2005/7