りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

風の谷のナウシカ(宮崎駿)

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ある本を読んでいて思い出したら、懐かしくなって読み返してしまいました。映画になったのは第1巻部分なのですが、この本、7巻まであります。

森も海も瘴気に充ち、巨大化した「虫」は人を襲い、人類はわずかに残された土地で細々と生きる世界。風の谷の「姫さま」として生まれたナウシカは「王蟲」と心を通わせ、「清浄な世界」にあこがれる優しい少女。

映画では「無垢な少女」の印象が強いナウシカですが、原作では「強さ」が強調されています。彼女自身、やむなくとは言え、戦争で敵兵を殺すことになってしまうし、折れそうになりながらも毅然とした態度で世界の重荷に耐える存在として描かれるのです。

宗主国である「トルメキア」が「ドルク(土鬼)」に対して起こした戦争に巻き込まれたナウシカは、無残に死んでいく人々に深い悲しみを覚えながらも、「トルメキアの白い魔女」として恐れられる「皇女クシャナ」についての従軍を余儀なくされてしまいます。

劣勢のドルクは、不思議な力を持つ「神聖皇弟ミラルパ」に率いられ、「聖都シュワの墓所」に封印されていた「古代の知識」を目覚めさせ、「虫」と「粘菌」を武器として使用。ドルクの焦土作戦によって、猛毒の森が一気に広がる「大海嘯」が起こり、無数の難民が生まれる中、両軍とも壊滅状態になり戦線も自然消滅。人類は存亡の危機を迎えます。

一方でナウシカは、森と共生する「森の人セルム」と出会い、森が汚染された世界を清浄化する役割を持っていること、しかしながら「清浄の地」では、すでに汚染されている人類は生きられないことを知ってしまうのでした。

ここからがクライマックスの最終巻。ナウシカは、彼女を母と慕う「巨神兵オーマ」を連れ、「シュワの墓所」を閉めるために旅立ちます。そこで彼女が出合ったのは、自ら発展させた文明を維持できずに滅びてしまった旧世界が、将来の希望を託して、計画的に世界に「再生の朝」を迎えさせようとする「墓所の主」。

墓所の主にとっては、ナウシカは遠大な計画を妨げる「邪悪な」存在。「私こそが唯一の希望なのだ」とナウシカを屈服させようとする墓所の主に対して、「違う!命は闇にまたたく光だ!」ときっぱり言い切るのが、このシリーズの白眉。「お前が崇高な使命を持って作られたことは否定しない」としながら、「しかし、命あるものすべてをコントロールしようとして、一番醜いものになってしまった」と、死にゆく巨神兵オーマをして、墓所を破壊するナウシカ

この粗筋では、大切な部分がいっぱい抜けてるなぁ。ナウシカの先生であった剣士ユパも、姫様を慕うミト爺も、ペジテのアスベルも、先代土王の後継者チククも、ドルク僧会のチャルカも、皇兄ナムリスも、トルメキアのヴ王も、庭園の主も、省略されちゃってますね。

一番書き落としているのが、副主人公とも言うべきクシャナのこと。皇女でありながら、卑しい身分の母から生まれ異母兄を恨みながら育ったクシャナは、ナウシカをうとみながらもナウシカの影響を受けて変わっていきます。クシャナをかばって命を落とすユパから「血はむしろそなたを清めた」と世界の再生を託され、彼女もまた重いものを担うのです。

やっぱり、全部読まないとわかりませんよね。ちなみに映画で一番好きな場面は、おびえるキツネリス「テト」に手を差し出し、咬まれながらも「怖くない・・・」とテトを落ち着ける場面。覚えてますか?

読了日不明(何度も読んでるし^^)