りぼんの読書ノート

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図書館危機(有川浩)

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このシリーズ、あと1巻で終わるそうです。まぁ、終え時なのでしょう。このシリーズの一番の魅力は、「武装図書隊が必要とされる世界」という設定そのものにあるのです。そんな世界が生まれた理由や、その世界がはらんでいる矛盾を詳しく説明し始めると、ボロが出てきそう。

第3巻にあたる本書までで「説明」はだいたい終了したはず。残る関心事は「どう決着をつけるのか」ですが、どうやらこの世界の解放に至るまでには、長い期間を必要としそうです。将来の時点に立ったエピローグをつける手もあるけれど、それはもうライブの物語ではありませんね。

だから主人公・郁の「成長物語」として、彼女がこの世界における自分の立ち位置を決めた時点が「物語の終わり」となるのでしょう。堂上隊長との恋愛関係や母親との確執に決着をつけることは、彼女の図書隊員としての自覚と不可分なのでしょうから。

本書では、郁の成長ぶりが見られますよ。子供の手なずけ方は、キャラ敵にも、もともと得意分野でしょうが、問題含みの茨城図書隊とのケンカの場面は、惚れ惚れしちゃいますね。ついに実戦も経験してしまいました。やはり「物語の終わり」は近いように思えます。

ついでながら、戦闘部隊の中でのラブコメって、厳しい部活の中での恋愛関係に似ていませんか?

2007/3