りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

エンダーのゲーム(オースン・スコット・カード)

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しろねこさん主催の「SF学部」で推薦されていた本です。面白そうでしたので、さっそく読んでみました。さすがに、熱く語られるだけのものがありますね。

2度にわたって異星人からの攻撃に合い存亡の危機に立った人類は、選び出されたわずか6歳の天才少年エンダーにすべての期待をかけて、司令官養成プログラムを授けます。

この、養成プログラムがえげつない。家族から引き離されるのは当然として、グループでは孤立させられ、チーム単位の戦闘シミュレーションでは次々と不利な条件を強いられ、それでも奇策を編み出し続けて全てのゲームに勝ち続けるエンダー。

当然、エンダーは恨まれます。素直で優しい性格のエンダーは、痛々しいほどに悩み続けながらも、義務感との葛藤の中で成長していく・・・こんなアニメありそう。本書の出版は1985年。すでにヤマトもガンダムも登場しています。世界的にも評判の高い、日本のSFアニメの影響もあったのでしょう。

エンダーと等しい能力を持つとされながら、それぞれ性格的な問題で「候補」から外された兄と姉の存在が物語に深みを与えていますね。兄ピーターは残忍すぎる性格で、姉ヴァレンタインは優しすぎる性格で
対象外になったのですが、まだ10代前半の天才少年少女たちが巡らす陰謀にはゾッとさせられます。まさに「恐るべき子供たち」。

ラストまできて、『エンダーのゲーム』というタイトルが持つ真の意味がわかるようになっています(かなりの「驚き」です)。そして「死者たちの代弁者」と名づけられた、エピローグ的な終章が、読者に「静謐」ともいえる読後感をもたらしてくれることになります。20年前に書かれたSFですが、今でも違和感なく読める本だと思います。

2007/2