りぼんの読書ノート

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書店ガール7(碧野圭)

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2007年に出版された『ブックストア・ウォーズ』以来、『書店ガール』として書き継がれてきたシリーズが、7巻にしてついに完結してしまいます。本書では最終巻にふさわしく、4人の主人公たちの「現状」が綴られます。

書店から離れて教師となった愛奈は、中学の読書クラブの顧問として、生徒たちのビブリオバトル開催を手伝っています。生徒から本音を引き出すのが難しいことは、今も昔も変わらないようです。故郷の沼津に戻ってブックカフェの開業に挑む彩加は、再開した旧友たちとの距離感に悩みますが、彼女のことだからすぐに乗り越えられるはずですね。「初代書店ガール」の亜紀は吉祥寺に帰って、今度は店長としての仕事に再挑戦。

しかし最も深刻なのは、大手出版コングロマリットで責任ある地位について、仙台の歴史ある書店の閉店騒動に巻き込まれた理子ですね。書店や顧客の心情を誰よりも理解しながら、資本の論理に従う立場は辛いものです。しかし回復の兆しも見えない出版不況の中では、当たり前に起こっていることなのでしょう。最近読んだ『書店主フィクリーのものがたり(ガブリエル・ゼヴィン)』に、「巨大チェーン書店ばかりになった世界より悪いものは、巨大書店すら消えたしまった世界だ」という趣旨の言葉がありましたが、すでにこれは現実になっているのです。だからこそ、書店ガールたちの奮闘が物語になるのですが・・。

2019/6