りぼんの読書ノート

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書店ガール3(碧野圭)

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「書店を舞台としたお仕事エンタテインメント・シリーズ」の第3巻。TVドラマ化もされて、著者の代表作になりつつあるようです。本書にも勢いを感じました。とはいえ、第1巻では奔放なお嬢様キャラだった亜紀も、もう30歳の母親。「書店ガール」のタイトルは厳しいかも・・。

半年の産休から復帰した亜紀は、不慣れな経済書担当となって失敗続き。子育ての苦労に加えて、努力も空回りして自信喪失状態。そんな中、新人バイトの愛奈からきらきらした目で「亜紀さんみたいになりたい」と告げられて困惑してしまいます。

一方で、東日本地区統括エリア・マネージャーとなった理子は、傘下に入った仙台の老舗書店のリニューアルを担当。老舗書店の経営が悪化した理由は、震災の被災に加えて、経営者の世代交代の失敗があったようです。以前のカリスマ店長であった沢村の起用は当たるのですが、彼もまた震災以来の心の傷を抱え込んでいました。

このシリーズの醍醐味は、理子と亜紀のコンビによる「無謀なチャレンジ」にあるのですが、今回の挑戦は「震災を振り返る企画展」。震災の記憶も風化しつつある東京で、2人は、この企画を成功させることができるのでしょうか。また、被災地の思いを東京に伝えることができるのでしょうか。

「書店」も「出版」も斜陽産業であるからこそ、ささやかな成功にも大きな意味があるのです。

2015/7