りぼんの読書ノート

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書店ガール6(碧野圭)

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大書店の店長・西岡理子と、熱血ガール・小幡亜紀の対決から始まったシリーズですが、第4巻からは理子の後輩である宮崎彩加が中心になっています。とはいえ理子も亜紀もポイントでは登場していますし、著者もこの2人の物語はまた書きたいとのこと。

本書では第5巻に続いて、取手の駅中書店の店長となった彩加と、亜紀の夫で出版社のラノベ編集長を務める小幡伸光が、それぞれのキャリアの中で大きな壁に突き当たります。

彩加は、仕事が軌道に乗り始めたところで、突然の閉店を告げられてしまいます。「世界はあなたのためにはない」のなら、自分は何をすれば良いのか。元同僚で今は中学校の図書館司書になっている愛奈との再会、元上司の理子からのさりげない励まし、ラノベ作家となった田中君はじめバイトスタッフへの気遣い。そして好意を抱いている沼津のパン職人・太田から思いがけない提案を受けるのですが・・。

一方の伸光は、担当したラノベのアニメ化というチャンスを掴んだものの、アニメ業界の監督やライターと対立してしまい、心労を募らせます。メディアミックスの際に背景説明や見せ場の表現の違いに苦労があることは理解できますが、原作の世界観が変わってしまってはいけませんね。

読書人口の減少と本に関わるビジネスの斜陽化には、歯止めがかからないようです。それでも本を愛する人たちが懸命に努力していることが、よく伝わってきます。第1作から回を重ねるごとに、著者の力量が上がってきていることも感じられます。

2017/12