シリーズ第５作では取手駅構内の書店の店長に抜擢された彩加が主役を務めますが、吉祥寺の大書店と取手駅ナカの小規模店では勝手が違うようです。小さいながら特徴ある店にしたいと意気込んで並べた文学本の売れ行きは悪く、バイト店員たちの心も掴めずに苦労する日々。でも彼女には「だったら、やりがいがありますね｣と励ましてくれる人も登場。
一方で今回ははじめて、男性がもうひとりの主役を務めます。『書店ガール１～３』の主役で現在は書店本部のマーチャン・ダイジング部に勤務している小幡亜紀の夫で、出版社でライトノベル編集長を務める小幡伸光。新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改竄問題を抱えた伸光は、ある新人作家の売り込みにレーベルの生き残りをかけるのですが・・。
この２人が出会った時に、思わぬ事実が発覚します。伏線はたくさんあるので、途中でだいたい想像つくのですが、そこまでレビューに書いてはいけませんね。ヒントは「三浦しをんケース」とでも言っておきましょうか。
文芸趣味の彩加ですが、取手駅ナカ店は「ラノベ推しの店」になっていきそうですね。でも読書に親しむきっかけは、萌え系美少女でも異世界戦士でもボーイズラブでも構わないはず。まずは、本を手に取って、文章を読む習慣が重要なのでしょうから。それに、彩加を遥かに凌駕する本格文学趣味の男性客も、常連になってくれたようですし。
『第４作』で彩加とともにダブル主役だった愛奈は、出身校である私立中学で司書教諭になったようです。学校の図書室を、ポップに溢れた情熱的なスペースに変貌させてしまったりして・・。主役を交替させながら書き続けられているシリーズですが、次作ではまた新たな「書店ガール」が登場するのでしょうか？
2017/1
