なぜ800年前に大陸から伝来してきた武術起源の「掃除」が、戦後の統治機構によって「活動制限スポーツ」に指定され、保安局の監視を受けるようになってしまったのか。失われた「国技」とはどのような関係があるものなのか。さらにその裏に隠されている、この国の歴史とは何なのか。明快な解答は最後までなされないものの、うっすらと日本の現状と重なる部分を感じさせるのが、いかにもこの著者らしい仕掛けです。まるで「普通の青春スポーツ小説」のような展開との違和感は、大いに楽しめますね。
主人公は掃除部に所属する高校生の藤代樹。部活動の先輩や仲間、後にライバルとなるスポーツ万能の友人、頼りないながら意外な特性を発揮するが後輩、そして謎めいた「居留地」出身の新入生の少女。ゴミが散らかったフィールドを元の状態に復元するスピードと、技術点、芸術点を競うスポーツ掃除の醍醐味を、存分に味わいましょう。タイトルの「コロヨシ!」とは「頃良し」という、競技開始を告げる掛け声です。よくこんな発想が出てくるものです。
2019/1