りぼんの読書ノート

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しゃばけ16 とるとだす

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2001年に日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞を受賞した、事実上のデビュー作にして代表作であるしゃばけシリーズ」も、2017年の本書で16作。2作めからは1年1冊のペースでコンスタントに出版され続けている長寿シリーズになりました。

「とるとだす」
訳あって病弱ながら妖怪たちに慕われ守られている長崎屋の若だんな・一太郎が、いつもと逆に、倒れてしまった父親の藤兵衛を助ける物語。息子の身を案じる藤兵衛が、試しに口にした多くの薬の組み合わせが悪かったようなのです。本書の5編では、ひとつずつ薬を解毒していく一太郎の活躍が描かれていきます。

「しんのいみ」
蜃気楼の中では、物忘れがひどくなるようです。起こったことを元に戻す力を持った「枕返し」が、江戸沖に現れた蜃気楼の中にいるという噂を聞いて出かけた一太郎ですが、自分の名前や目的まで忘れてしまいそう。実はずっと蜃気楼の中にいた「枕返し」も自分の正体を忘れてしまっていたのです。

「ばけねこつき」
娘の持参金に毒消しの妙薬つけるから、一太郎の嫁にして欲しいという染物屋が登場。実は娘には「化け猫」が憑いているという噂がたっていたのです。ずっと染物屋の主人に空手形を切られていた番頭が気の毒です。

「長崎屋の主が死んだ」
強い恨みを抱えて死んだ狂骨が、長崎屋の主人を狙ってやってきます。ほとんどいいがかりのような恨みなのですが、もはや論理は通じません。一太郎は倒れたままの父親を守って奮闘します。

「ふろうふし」
若だんなの心配はとうとう大黒天まで動かしてしまいます。大黒天の旧友で、薬祖神の少彦名を紹介されるのですが、そこで不老不死の薬をめぐる神と人との争いに巻き込まれてしまいます。もちろん、神ならぬ者が不老不死など願っていけないのですが、少彦名の従者を務める島子の正体が意外でした。はたして藤兵衛は回復したのでしょうか。

2018/10