りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

えどさがし(畠中恵)

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しゃばけシリーズ」初の外伝です。本編の主人公・一太郎はほとんんど登場しませんし、時代も本編の前後に大きく飛びますが、やはり「しゃばけ」の世界です。

「五百年の判じ絵
弘法大師によって生を受けた犬神が、長崎屋の手代となるべく、判じ絵によって江戸へと導かれる物語。宿場で公開されている判じ絵が、自分ひとりに向けて描かれたものというのは、驚きますね。今で言ったらTV番組のメッセージほどのイメージでしょうか。

「太郎君、東へ」
妖怪から見た、利根川東遷事業ものがたり。江戸湾に流れ込んでいたのに、人間によって銚子へと向かわされてしまったら、川の神である坂東太郎はさぞ驚いたことでしょう。関東河童の女親分・禰々子が、太郎君のおなだめ役として登場します。

「たちまちづき」
妖を見ることができる広徳寺の寛朝が、気の弱い口入屋の主人と、勝気な妻のトラブルを解決します。一太郎は端役で登場しますが、あまり妖は関係しませんでしたね。

「親分のおかみさん」
日限の親分のおかみさん・おさきの物語。岡っ引きの家に捨てられていた赤子と、最近江戸を騒がせている押し込み強盗との間に、関係があるのでしょうか。病身ながら、夫を気遣う妻の気持ちがよく表現されていました。

「えどさがし」
なんと本編よりだいぶ未来の、明治20年ころの物語。長崎屋は長崎商会と名を変え、仁吉と佐助が中心になっているようです。妖たちは元気ですが、若だんなは当然ながら寿命を迎えています。2人の手代は、若旦那の生まれ変わりを捜し歩いているのですが・・。ということは、一太郎は子孫を残さなかったのでしょうか。本当に生まれ変わりは見つかったのかどうか、続編も読みたくなりますね。

2016/5