りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

むすびつき(畠中恵)

イメージ 1

しゃばけシリーズ」も第17弾になりました。もっと早く完結するかと思っていたのですが、一時の中だるみ状態も脱していますし、ここまできたらもうやめられませんね。本書では「生まれ変わり」をテーマとする作品が並んでいます。

 

「昔会った人」
付喪神になりかけている「蒼玉」が若旦那の一太郎を「若」と呼んだことで、貧乏神の金次が戦国時代の思い出を語りだします。金次は当時、村を占拠した野武士を追い払うよう京都の寺まで依頼に行く若者と一緒に旅をしたというのですが、その若者は一太郎の前世だったのでしょうか。

 

「ひと月半」
兄やたちと箱根に湯治に出かけた一太郎が留守の間に、長崎屋の離れに3人の男が現れます。彼らは3人とも、箱根で事故死した一太郎が死神として生まれ変わった者だというのです。転生するにしても早すぎるのですが、彼らはなぜそのような主張をするのでしょう。実はその中のひとりは本物の死神だったのですが・・。

 

「むすびつき」
自分も一太郎の前世と縁があったのではないかとと考え出した鈴彦姫が、数十年前に亡くなった宮司のことを調べ始めます。現在その神社は経営危機にあり、鈴彦姫の本体である神鈴も売られようとしていたのですが・・。第1作からのレギュラーなのに、なんとなく影が薄かった鈴彦姫が主役を務める作品です。

 

「くわれる」
300年前に出会ったという前世の一太郎を慕って長崎屋に飛び込んできた美女は、人を食らう悪鬼でした。しかも一太郎の幼馴染の栄吉が彼女に惚れてしまい、しかも悪鬼美女が攫われてしまっただからややこしい。一太郎は、犯人が食われてしまわないように誘拐事件の謎解きに挑みます。

 

「こわいものなし」
病に苦しむ主人を助けようとする猫又の会話を盗み聞きして、死後に転生できることを知った男は、死を恐れないようになるのですが、これがとんでもないトラブルメイカーなのです。実は転生には怖い一面もあるのですが・・。タイトルと異なり、一番怖い話でした。

 

2019/7