りぼんの読書ノート

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トワイライト 哀しき新生者(ステファニー・メイヤー)

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本編のトワイライト3で、悪役の吸血鬼ヴィクトリアが、主人公のベラへの復讐を果たすために凶暴な新生者を増産してカレン一族に挑む場面がありました。本書は、何も知らずに吸血鬼として「転生」させられた少女ブリーの視点から描かれた「外伝」です。

「あの女」に吸血鬼にされてから、人間だった時の記憶も薄れ、野蛮な仲間も信じられず、ただ血に飢えて獲物をむさぼるだけの日々をおくっていたブリー。そんな少女の野獣のような生活は、ただひとり優しさを失っていないディエゴと出会って変わります。太陽にあたっても死なないこと。「あの女」が何かを隠し続けていること。そして吸血鬼どうしでも愛し合えること。

しかし、ブリーの幸せな時間が長く続くことはありませんでした。「あの女」が仕掛けた「甘い香りの人間の少女を連れた敵の一族」との戦いの時が迫っていたのです。ディエゴを失って自棄になったブリーは、「敵のマインドリーダー」に投降するのですが・・。

孤独の中で懸命に生きてきた少女が、希望と絶望の落差をつきつけられて覚悟を決める瞬間が涙を誘います。著者は「ブリーにもう少し違う未来を与えておけば良かった」と悔やんだそうですが、同感です。

2018/7