りぼんの読書ノート

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ヴァン・ヘルシング(ケヴィン・ライアン)

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映画化された作品です。というより本書は映画のノヴェライズなのでしょうか。「ヴァン・ヘルシング」とは聞き慣れない名前ですが、古典映画「ドラキュラ伯爵」で吸血鬼の弱点を見抜いた老科学者とのこと。この作品では、バチカンの秘密組織に属する「モンスター・ハンター」として、アクション武闘派になっています。

ノートルダム寺院でハイド氏を破ったヘルシングへの次の指令は、トランシルヴァニアで活動を再開したドラキュラ伯爵。人狼を操り、フランケンシュタイン博士の研究成果を手に入れたドラキュラは、恐るべき企みに成功しつつあったのです。それはドラキュラの子どもたちに命を与えること。

武器発明の天才修道僧カールとともにトランシルバニアに旅立ったヘルシングは、代々ドラキュラと闘い続けてきたヴァレリアス家の王女アナと出逢い、行動をともにします。人狼に変えられたアナの兄を救えるのか。ドラキュラの野望を未然に防げるのか。フランケンシュタインは退治されるモンスターなのか・・アクション映画らしく盛りだくさんの内容ですが、最後は消化不良気味。

ドラキュラとの対決は活字でも迫力満点だったのですが、過去を失ったヘルシングの正体が謎のままなんですね。事情を知っているらしいドラキュラから「神の左手」とか「ガブリアル」などと呼ばれていたので、「大天使」なのかもしれないのですが、それにしては普通の人間っぽい。

ヴァレリアス家の長男だったというドラキュラ伯爵と、父親の関係もよくわかりませんでした。邪悪な息子を殺しきれずに氷の要塞に閉じ込めたとか、一族の末裔がドラキュラ殺害に成功すれば全員の救済を神に保証してもらう取り決めをしたとか、ほとんど現世の者ではありませんよね。まあ、面白かったからいいのでしょうが・・。ひょっとして続編もあり?

2013/6