りぼんの読書ノート

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土佐堀川 広岡浅子の生涯(古川智映子)

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明治期に女性実業家、教育家、社会運動家として活躍した広岡浅子の一代記であり、2016年のNHK朝ドラ「あさが来た」の原案本となった作品です。

江戸時代末期に京都の三井家に生まれ、17歳で大坂の両替商・加島屋に嫁いだ浅子は、明治維新の時には20歳。動乱の中で家運が傾いた加島屋を立て直すために、夫に代わって実業界に身を投じ、筑豊の潤野炭鉱、加島銀行大同生命などを設立。後には日本女子大の創立や婦人運動にも尽くした女傑の生涯は、まさに「颯爽」としていますね。

荒々しい炭鉱ではピストルを懐にして手配師や坑夫らと対峙し、銀行では周囲の反対を押し切っていち早く女性社員を登用し、逆恨みから刺傷を負った災厄すらも生命保険の重要性に気付くという凄まじさは、まさに彼女が信念とした「九転十起」の人生です。渋沢栄一五代友厚ら、時代を代表する財界人とも親交を結び、後に日本女子大の学長となった井上秀や、婦人運動家の市川房枝らにも薫陶を与えたというから、奥も深い。

しかも、結婚時に既に罹っていた肺結核も、中年期の末期乳癌ですら克服してしまったという生命力の強さも、持ち合わせていたようです。TVドラマで強調されていた「相撲」の話は登場しませんでしたが・・。こういう人の話を読むと、足元にも及ばないとはいえ、頑張らないといけないと思わされるのです。

2018/2