りぼんの読書ノート

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邪悪(パトリシア・コーンウェル)

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検屍官シリーズ」の第23作にあたります。前作標的で意外な復活を果たした、シリーズきっての悪役キャリー・グレセンが、ケイやルーシーらに悪意をむき出しにして迫ってきます。

ハリウッド大物の娘シャネルが自宅内で死亡。すべての証拠が自殺を示す中、スカーペッタは疑念を抱きます。まるで彼女だけにわかるような偽装が死体に隠されていたのです。同じタイミングで、姪のルーシーの携帯から届いた動画は、FBIインターンだったころのルーシーの部屋を盗撮したものでした。やはり全ては、当時FBIでルーシーを指導していたキャリーが仕組んだことだったのでしょうか。しかし何という長期的な計画なのでしょう。

一方でルーシーの自宅にFBIから家宅捜索が入ります。それを指揮していた女性もまた、過去にルーシーやキャリーの同僚であった女性でした。ルーシーを標的にした密告とデータ操作は、いかにもキャリーが行いそうなことなのですが、どうもルーシーも何かを隠そうとしているようなのです。それもまた、すべての面で先手を打っているキャリーの読み通りの行動なのでしょうか。やがて被害者のシャネルと、ルーシーらの繋がりが明らかになるのですが・・。

ついにFBIもキャリーの生存を認めたようですが、本書ではまだ多くの問題に決着がついていません。ケいとルーシーの、天敵キャリーとの闘いは長く続きそうです。一方で本書では、データの信頼性が揺らいでいることが指摘されています。現実世界でも重要な問題になっていきそうです。

2018/1