りぼんの読書ノート

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青い海の宇宙港 春夏篇(川端裕人)

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近未来の2020年代。ロケット発射場がある種子島をモデルにした多根島に「宇宙遊学生」として1年間を過ごした少年たちのロケット・ボーイズ物語。

「宇宙遊学生」といっても、ロケットや宇宙に興味がある小学生ばかりではありません。主人公の天羽駆少年は、どちらかというと多根島の多様な自然との触れ合いを楽しみにしている小学6年生。それでも島育ちの希実や、遊学生仲間の宇宙少年・周太や、フランス人宇宙飛行士を母に持つ萌奈美らと一緒に学び、遊び、JAXA宇宙センターの職員たちと交流をしていく間に、宇宙に惹かれていくのです。

上巻「春夏編」のハイライトは、島の名産・さとうきびを燃料とする「シュガー・ロケット」を製作して、夏休みのロケット競技会の打ち上げに参加すること。発想の豊かさやパソコンに習熟していても、そこは小学6年生。JAXAや島の里親や学校の教師らの協力がなければロケットの製作などできるものではありません。さすが「宇宙港」を擁する島だけあって、大人たちも宇宙には理解を示しており、ロケット制作・発射に関わる業者も多数いることは、ポイント高いですね。

TBS記者だった著者は、1991年にTBSの秋山さんがソ連ソユーズロケットで宇宙ステーション「ミール」に行った際に、町工場のようなロシアのロケット工場を取材した経験があるとのこと。その時に発送した「民間ロケット打ち上げ」のアイデアが本書に結実したとのこと。「日本版ロケットボーイズ&ガールズ」の活躍は、下巻「秋冬篇」へと続いていきます。

2017/9