りぼんの読書ノート

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ロケットガール1 女子高生、リフトオフ!(野尻抱介)

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日本有数のハードSF作家という印象のある著者が、1993年から著したロケットガールシリーズの第1弾です。

打ち上げ実験の失敗を続ける日本政府系の宇宙開発団体が、最後通告を受けてしまいます。生き延びる条件は、年内に有人ロケットを打ち上げること。しかし実績のある旧型ロケットはパワー不足で、宇宙飛行士は40キロ以下である必要があるのです。

そんなか、行方不明になった父親を探しに、打ち上げ基地のあるソロモン諸島までやってきた女子高生・森田ゆかりは条件にぴったり。所長の那須田らによって強引にリクルートされたゆかりは、しぶしぶ訓練を受け始めたものの、やがて宇宙に飛び出すことに真剣に向かうようになっていくのです。

著者は本書を振り返って、「1993年に、カプセル型宇宙船、ハイブリッドエンジン、スキンタイト宇宙服を組み合わせて宇宙へ行くことを、SFとして世に問うことに意味があった」と述べています。ストーリーはラノベ系ですが、ガジェットはハードだったのですね。

はじめて飛び出した宇宙でハプニングにあって宇宙船外に飛び出したゆかりを、やはり宇宙飛行士となった異母妹のマツリが救出に向かう場面などは、映画の「ゼロ・グラビティ」を先取りしています。全4巻が新装で出版されたのを機に、続編も読んでみましょう。

2014/7