りぼんの読書ノート

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魔物のためのニューヨーク案内(ムア・ラファティ)

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地方都市で雑誌編集をしていたゾーイは、社内不倫でボロボロになってニューヨークに戻ってきたところ。偶然入ったうらぶれた書店で見つけた求人広告に申し込んだものの、「君は会社に馴染めない」と拒絶されてしまいます。実はその会社の従業員は全員が魔物であり、編集者を雇う目的は「魔物のためのニューヨーク案内」を発行することだったのです。

ヴァンパイアのCEOから気に入られたゾーイは、社員には彼女に手を出させないとの約束をもらって、編集長のポストを手に入れるのですが、庶務部長は九尾のキツネ、広報は夢魔インキュバスサキュバス、ゾーイの部下になるライターには、水の精、死の女神、ゴーレム、ゾンビなど。そしてあろうことか、新しく採用された人事部長ならぬ怪事部長の人造人間は、ゾーイの昔の恋人でした。

どうやらニューヨークに闘いを仕掛けてきた魔物には、ゾーイとの個人的な因縁もあるようです。ニューヨークの街の霊と交信できるという老女の助けを得て、ゾーイは出版社の魔物たちとともに防戦に乗り出すのですが・・。

かなり無茶苦茶な作品で、良質なファンタジーに必要な世界観など何もないのですが、その分パワフルで楽しめます。各章のラストに記されている、ゾーイが編集した「ニューヨーク案内」の抜粋が、いい味を出していますね。本書はシリーズ化されていて、次作はブードゥーの聖地である「ニューオーリンズ案内」だとのことです。

2017/9