りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

永遠をさがしに(原田マハ)

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2012年に直木賞候補となった楽園のカンヴァスでブレークする直前の作品です。この2作の間には断絶がありますね。この作品は、ストーリーは盛り込み過ぎで、テーマは未消化の感じです。

世界的な指揮者を父親に持つ高校生の和音は、5年前の両親の離婚以来、父親には心を閉ざしたまま。かつてチェロ奏者だった母親から教えてもらったチェロにも、ずっと触れていません。そんな時、ボストンに招聘された父親と入れ替わりで、新しい母親と名乗る女性・真弓がやってきます。ティンパニにように騒々しく、型破りな真弓に振り回されてばかりの和音でしたが、次第に頑なだった心がほぐれていくのを感じるのでした。

ここまでは良かったのですが、16歳の誕生日に実母からの手紙を貰ってからの展開が、あまりにも露骨で上滑りしています。両親の離婚の真相、実母が罹った不治の病、やはりチェロ奏者だった真弓と実母の関係、さらに真弓を襲った不幸、そして和音は再びチェロを手にするのです。2人の母親のために・・。

こういう強引な展開には、引いてしまいます。

2017/6