昨年末に浦安市民会館で「カルテット・コンサート」がありました。浦安在住の作家が浦安を舞台に書いた小説が、音楽劇にアレンジされた舞台とのこと。映画化もされるそうです。コンサートには行けませんでしたが原作を読んでみました。
これは「家族小説」なんですね。ヴァイオリンの才能がある中学生・開の家庭は崩壊の危機に瀕していました。音大を出たものの普通の会社員となり、そこをリストラされて求職活動中の父親。学生結婚で自身の音楽をあきらめ、夫にも失望し、息子にすべてを託している母親。コンプレックスに悩み、音楽も勉強も中途半端で反抗期にある高校生の姉。しかも、両親の間では離婚話まで起きているんです。
そんな家族が、カルテットを組んで演奏会を開く過程で再生していく物語。開はもちろんヴァイオリン、父親はピアノ、母親はチェロ、姉はフルートを手にして、ポピュラーなライト・クラシックを演奏するのですが、かなりお粗末なレベルからのスタートで、この家族の不協和音はいったいどうなるんだろうと思わせるのですが・・。
終盤になって、バラバラの家族が纏まっていく展開にちょっと無理を感じますが、ライト・ノヴェルとしてはこの程度で十分かもしれません。むしろ、もう少し演奏部分の描写や、音楽についての説明が欲しかったかな。
2011/2