巨匠の遺作か、人気作家の新シリーズか、新鋭作家の直木賞候補作か悩みましたが、10年前に出版された写真集を1位に選ぶことにしました。この作品で突きつけられた課題は、今でも色褪せていないどころか、いっそう先鋭化しているのです。大きくて重くて高い本ですが、それだけの価値はあると思います。1.プラネットアース(アラステア・フォザギル)
2006年にNHKスペシャル枠で11週に渡って放映された、自然ドキュメンタリーシリーズを概括した愛蔵版です。地球上の各地での地形形成と気象影響を説明したうえで、そこに生きる動植物の課題を明確にしていく構成は、体系的です。そして懸命に生きる動植物の生態は感動的なのです。新シリーズの放送開始を機会に手に取ってみましたが、今でも色褪せてはいません。
2.ヌメロ・ゼロ(ウンベルト・エーコ)
2016年2月に84歳で亡くなられた著者の7作目にして最後の小説は、前作と同様に情報操作をテーマとするものでした。「握りつぶされた真実の告発」を標榜する新聞の目的は、強請りや利益供与でしかなかったのですが、思わぬ事件に発展してしまいます。「記憶こそ私たちの魂」と述べる著者の期待に応えるには、とてつもない意志力と解析力が求められそうですが・・。
2016年2月に84歳で亡くなられた著者の7作目にして最後の小説は、前作と同様に情報操作をテーマとするものでした。「握りつぶされた真実の告発」を標榜する新聞の目的は、強請りや利益供与でしかなかったのですが、思わぬ事件に発展してしまいます。「記憶こそ私たちの魂」と述べる著者の期待に応えるには、とてつもない意志力と解析力が求められそうですが・・。
3.書楼弔堂 破曉(京極夏彦)
明治20年代半ば、「探書」に訪れる者に「一冊の本」を勧める不思議な書楼「弔堂」の物語。書楼の主人は、本とは読者を得て再生の時を待っている「移ろい行く過去を封じ込めた墓」だというのです。その本は実在の人物に人生の転機を与えることになるのですが、史実とフィクションが交差する瞬間がいいですね。シリーズ化予定とのことですので、期待しています。
明治20年代半ば、「探書」に訪れる者に「一冊の本」を勧める不思議な書楼「弔堂」の物語。書楼の主人は、本とは読者を得て再生の時を待っている「移ろい行く過去を封じ込めた墓」だというのです。その本は実在の人物に人生の転機を与えることになるのですが、史実とフィクションが交差する瞬間がいいですね。シリーズ化予定とのことですので、期待しています。
【その他今月読んだ本】
・能・狂言 日本文学全集10 (池澤夏樹編(岡田利規訳))
・曾根崎心中 日本文学全集10 (池澤夏樹編(いとうせいこう訳))
・女殺し油地獄 日本文学全集10 (池澤夏樹編(桜庭一樹訳))
・菅原伝授手習鑑 日本文学全集10 (池澤夏樹編(三浦しをん訳))
・義経千本桜 日本文学全集10 (池澤夏樹編(いしいしんじ訳))
・仮名手本忠臣蔵 日本文学全集10 (池澤夏樹編(松井今朝子訳))
・説教節 日本文学全集10 (池澤夏樹編(伊藤比呂美訳))
・炎路を行く者(上橋菜穂子)
・女友だちの賞味期限(ジェニー・オフィル編著)
・漁港の肉子ちゃん(西加奈子)
・秋萩の散る(澤田瞳子)
・天冥の標9.ヒトであるヒトとないヒトと Part 2(小川一水)
・GOSICK 3 青い薔薇の下で(桜庭一樹)
・GOSICK 4 愚者を代弁せよ(桜庭一樹)
・陰陽師阿部雨堂(田牧大和)
・惑星童話(須賀しのぶ)
・クリフトン年代記5.剣より強し(ジェフリー・アーチャー)
・王の厨房 僕僕先生 零(仁木英之)
・能・狂言 日本文学全集10 (池澤夏樹編(岡田利規訳))
・曾根崎心中 日本文学全集10 (池澤夏樹編(いとうせいこう訳))
・女殺し油地獄 日本文学全集10 (池澤夏樹編(桜庭一樹訳))
・菅原伝授手習鑑 日本文学全集10 (池澤夏樹編(三浦しをん訳))
・義経千本桜 日本文学全集10 (池澤夏樹編(いしいしんじ訳))
・仮名手本忠臣蔵 日本文学全集10 (池澤夏樹編(松井今朝子訳))
・説教節 日本文学全集10 (池澤夏樹編(伊藤比呂美訳))
・炎路を行く者(上橋菜穂子)
・女友だちの賞味期限(ジェニー・オフィル編著)
・漁港の肉子ちゃん(西加奈子)
・秋萩の散る(澤田瞳子)
・天冥の標9.ヒトであるヒトとないヒトと Part 2(小川一水)
・GOSICK 3 青い薔薇の下で(桜庭一樹)
・GOSICK 4 愚者を代弁せよ(桜庭一樹)
・陰陽師阿部雨堂(田牧大和)
・惑星童話(須賀しのぶ)
・クリフトン年代記5.剣より強し(ジェフリー・アーチャー)
・王の厨房 僕僕先生 零(仁木英之)
2017/2/27