今月の読書リストを見返すと、「絲山秋子、桜木紫乃、西加奈子、三浦しをん、朝井まかて、原田マハ、梶よう子、青山七恵、島本理生、桂望実」と、現代の女性作家の名前が目につきます。偶然なのですがせっかくなので、今月の1位はその中から選ばせていただきました。1.離陸(絲山秋子)
村上春樹さんからのリクエストによる「女スパイもの」とのことですが、スパイ小説とは大きく異なる地点に着地しています。行方不明になったかつての恋人を探して欲しいと依頼された主人公は、遠い過去の文書に記された彼女の面影を発見するのですが、全ては謎のまま物語は終わります。しかし読者には、人生とは「離陸=死」の順番を待つ時間であるという主人公が至った境地とともに、滑走路に並んで離陸の順番を待つ旅客機のイメージが残されるのです。
2.ポーランドのボクサー(エドゥアルド・ハルフォン)
アウシュヴィッツを生き延びた祖父を持つグアテマラ人の著者は、モザイクのような短編で自らの人生を語り続けます。そこに詰まっているのは、祖父らが受けた迫害の歴史、ユダヤ教の狭量さ、文学の意味、エロティシズム・・。やはり長い迫害の歴史を持つジプシーのピアニストもまた、著者の分身なのでしょう。
アウシュヴィッツを生き延びた祖父を持つグアテマラ人の著者は、モザイクのような短編で自らの人生を語り続けます。そこに詰まっているのは、祖父らが受けた迫害の歴史、ユダヤ教の狭量さ、文学の意味、エロティシズム・・。やはり長い迫害の歴史を持つジプシーのピアニストもまた、著者の分身なのでしょう。
3.霧(ウラル)桜木紫乃
北の町での女の生きざまを描き続けている著者が、またひとり、ニューヒロインを誕生させました。北方領土の帰趨に揺れる戦後の根室の有力企業の次女として生まれた珠生は、政治家の夫を通じて町を操ろうとする姉や、政略結婚という運命に抗おうともがく妹らと袂を分かち、亡き夫の跡を継いで「海峡の鬼」となる決意をするに至ります。続編を期待したい作品です。
北の町での女の生きざまを描き続けている著者が、またひとり、ニューヒロインを誕生させました。北方領土の帰趨に揺れる戦後の根室の有力企業の次女として生まれた珠生は、政治家の夫を通じて町を操ろうとする姉や、政略結婚という運命に抗おうともがく妹らと袂を分かち、亡き夫の跡を継いで「海峡の鬼」となる決意をするに至ります。続編を期待したい作品です。
【その他今月読んだ本】
・荒神絵巻(宮部みゆき(原作)こうの史代(絵と文))
・好色一代男 日本文学全集11(池澤夏樹編(島田雅彦訳))
・雨月物語 日本文学全集11(池澤夏樹編(円城塔訳))
・通言総籬 日本文学全集11(池澤夏樹編(いとうせいこう訳))
・春色梅児誉美 日本文学全集11(池澤夏樹編(島本理生訳))
・アイネクライネナハトムジーク(伊坂幸太郎)
・立身いたしたく候(梶よう子)
・木暮荘物語(三浦しをん)
・当確師(真山仁)
・舞台(西加奈子)
・ジヴェルニーの食卓(原田マハ)
・花競べ(朝井まかて)
・時のかけらたち(須賀敦子)
・須賀敦子が歩いた道(須賀敦子)
・あかりの湖畔(青山七恵)
・世界が終わる前に BISビブリオバトル部(山本弘)
・診療室にきた赤ずきん(大平健)
・ミニチュアの妻(マヌエル・ゴンザレス)
・岳飛伝 15(北方謙三)
・手の中の天秤(桂望実)
・荒神絵巻(宮部みゆき(原作)こうの史代(絵と文))
・好色一代男 日本文学全集11(池澤夏樹編(島田雅彦訳))
・雨月物語 日本文学全集11(池澤夏樹編(円城塔訳))
・通言総籬 日本文学全集11(池澤夏樹編(いとうせいこう訳))
・春色梅児誉美 日本文学全集11(池澤夏樹編(島本理生訳))
・アイネクライネナハトムジーク(伊坂幸太郎)
・立身いたしたく候(梶よう子)
・木暮荘物語(三浦しをん)
・当確師(真山仁)
・舞台(西加奈子)
・ジヴェルニーの食卓(原田マハ)
・花競べ(朝井まかて)
・時のかけらたち(須賀敦子)
・須賀敦子が歩いた道(須賀敦子)
・あかりの湖畔(青山七恵)
・世界が終わる前に BISビブリオバトル部(山本弘)
・診療室にきた赤ずきん(大平健)
・ミニチュアの妻(マヌエル・ゴンザレス)
・岳飛伝 15(北方謙三)
・手の中の天秤(桂望実)
2016/8/30