りぼんの読書ノート

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クロコダイル路地 2(皆川博子)

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フランス革命期を舞台にした伝奇ロマンの第二部の舞台は、ロンドンへと移ります。両親ともギロチンで処刑されたブルジョワ一族の嫡男ローランはロンドンで商会を起こし、ナントの虐殺で主君を失ったピエール、港湾労働者だった少年ジャン・マリらは商会の商船に乗り組んでいます。

そして9年後の1802年。アミアンの和約によってイギリスとフランスが一時的に国交を回復。人的な往来の復活に伴って、美貌の医師夫人で、蝋人形師となっていたコレットのロンドン訪問とともに、復讐劇が幕を開けるのです。しかし、革命の名のもとになされた不条理が数多くある中で、誰が誰に復讐することになるのでしょう。弱肉強食の象徴としてのクロコダイルと自分を同一視し始めていたローランと、蝋人形師という妖しい技を身に着けたコレットのコンビは、いかにも危険なのですが・・。

ロンドン編では、中年となっていた「バートンズ」が登場。18世紀半ばのロンドンで、解剖学者ジョン・ハンターをモデルにした外科医のもとに集った青年探偵団ともいうべき存在で、開かせていただき光栄ですアルモニカ・ディアボリカに登場した面々です。隣国の革命に端を発した犯罪は、どのように裁かれることになるのでしょうか。

おどろおどろしいイメージを想起させるタイトルや、「法廷で裁かれるのは〈犯罪〉だ。神が裁くのは、〈罪〉だ」というカバーのフレーズから想像していたのと異なって、ラストは意外と爽やかでした。いや、復讐劇そのものは、かなり陰惨なのですが・・。

2016/12