りぼんの読書ノート

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再会(諸田玲子)

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『あくじゃれ瓢六シリーズ』の第4作として、前作べっぴんから4年後に出版された本書では、これまでの雰囲気が一変していました。

恋女房・お袖と仲睦まじく同居しながら、自分の生きる道を見いだしたはずだった瓢六が、なぜ不良旗本屋敷の借家人として自堕落な生活を送っているのか。昔の相棒だった堅物同心の篠崎弥左衛門や、与力の菅野一之介や岡っ引きの源治からも隠れて暮らしているようなのは何故なのか。

しかし、その間にも時代は動いていたのです。老中・水野忠邦による「天保の改革」が始まっていて、戯作者、洋学者、不良御家人への締め付けが厳しくなってくる一方で、南町奉行矢部定謙は失脚。後任に入った鳥居耀蔵は、北町奉行遠山金四郎にも触手を伸ばし始めた模様。そして、鳥居の威を借りた勢力によって、かつての知人たちも次々に狙われて行きます。

本書は、衝撃的な災難に遭って荒んだ生活へと転落していた瓢六が、再び昔の仲間と立ち上がって、鳥居耀蔵の一味に強烈なしっぺ返しを食らわせる物語。その背景には、天保の改革を快く思わない勢力もいるようですが、巨悪との本格的な対決は、次巻以降に展開されるのでしょう。

昔の仲間たちが歳をとってきたのは仕方ありませんが、新しいメンバーも登場。40歳を過ぎた瓢六が惹かれたらしい謎の武家女性・お奈緒は魅力的ですし、瓢六に協力的な隣人の勝小吉・麟太郎父子は、いい味を出しています。ニューシーズンの始まりです。

2016/2