りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

プリティ・モンスターズ(ケリー・リンク)

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ヤングアダルト」とも「ファンタジー」とも言われる作風ですが、間違いなく独自の世界を持っている作家です。この人も「ひとり1ジャンル」ですね。
 
「墓違い」
死んでしまったガールフレンドの棺桶に自作の詩を入れた少年は、原稿を取り戻すために彼女の墓を暴くことにするのですが・・。
 
「パーフィルの魔法使い」
魔法使いの召使いとして買われた少女。街が戦火に巻き込まれ難民があふれても、決して姿を現さない魔法使いに、少女は怒りをぶちまけます。最も読後感が爽やかな作品です。
 
「マジック・フォー・ビギナーズ」
なぜか田舎の電話ボックスを相続した少年が、そこに電話をかけてみたところ、受話器を取ったのは、奇想天外な連続テレビドラマの主人公でした。少年は重要な任務を依頼されるのです。現実とドラマの境界線が揺らいでいきます。
 
「妖精のハンドバック」
祖母のハンドバッグには、まるごと妖精の国が入っているというのです。それを相続するよう言われていた孫娘は、もちろん大嘘に決まっていると思っていたのですが・・。
 
「モンスター」
ボーイスカウトのキャンプを襲ったモンスターに、一人生き残った少年が、なぜもっと嫌な奴らのキャンプを襲わなかったのか尋ねます。返ってきた答えは、「お前らだってホットドッグを食う時、いい犬か悪い犬か気にしないだろう」だって!
 
「シンデレラ・ゲーム」
両親の再婚で義理の姉妹となった幼い少女たちが、「シンデレラごっこ」をして遊びます。「改良バージョン」のゲームでは、どちらの役のほうが有利なのでしょう。
 
「プリティ・モンスターズ」
幼いころに2度も命を助けてくれた少年に恋をして、大失恋してしまったクレメンタイン。女子校の新入生に、通過儀式である「試練」を仕掛けようとするリー。並行する2つの物語は、どこに向かうのでしょう。思春期の少女たちの悩みは、ややこしいものです。

他には、ちょっと変わった幽霊屋敷物語の「専門家の帽子」パンデミックで隔離された島にエイリアンが訪れる「サーファー」、邪悪な母親が殺した男の幽霊をポケットに隠した少女が語る「アバルの保安官」が収録されています・。

2015/12