りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ラストラン(角野栄子)

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魔女の宅急便の著者が、自分自身をモデルに書いたファンタジーです。

74歳のイコさんが「残された人生でやっておきたいこと」は、なんとバイク・ツーリング。真っ赤なバイクを買って、5歳の時に死別した母の生家がある岡山まで往復1200キロの旅に出るのですが、荒れ果てた船宿で不思議な少女ふぅちゃんに出会います。

実はふぅちゃんは、亡き母の幽霊でした。亡くなったときの心残りが大きかったために、現世に残っていたようなのです。少女の姿をしている理由は、イコさんの記憶にある母の姿は12歳の時の写真だけだったから。

イコさんは、自分が娘だと告げた途端にふぅちゃんが姿を消してしまうのではないかと思って、正体を明かせません。幼い娘を残していく母親の心残りといったら決まってますもんね。12歳までの記憶しかもたないふぅちゃんは、イコさんが自分の娘だとは知らないままに、一緒にバイクで旅をすることになるのですが・・。

幽霊なのに何にでも関心を持って、旅の途中で出会った少年に恋をして一途に追いかけていくふぅちゃんが、とっても生き生きとしていて魅力的です。角野さんは「亡くなった母が可愛い12歳であって欲しかったな」と語っていますが、成功してますね。そういえば、キキが魔女となるために旅立った年齢も12歳でした。

やがて東京にやってきたふぅちゃんは、自分が18歳の時に恋をして結婚し、娘を産んだことを思い出します。成長した娘と出合ったふぅちゃんの心残りは、満たされてしまうのでしょうか・・。

ふぅちゃんのことばかり書きましたが、もちろん74歳のイコさんも魅力的です。2人とも、未来に可能性が広がる12歳の少女のようです。^^

2011/6