りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ダスト(ヒュー・ハウイー)

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「サイロ3部作」の完結編では、2人の女性の苦闘が交互に描かれていきます。

第1部ウールのヒロイン・ジュリエットは、一度出たら生きて帰れないといわれる外界から帰還し、サイロ18の市長となっていました。30年前に滅ぼされたサイロで生きのびた人々を救うため、地下深くに隠されていた掘削機でトンネルを掘り始めるのですが、市民の強い反発に出会います。

第2部シフトで、人類を滅亡寸前に追い込んだ最高権力者に闘いを挑んだドナルドは、捕えられて瀕死の怪我を負わされます。ドナルドによって冷凍睡眠からに目覚めさせられていた妹シャーロットは、サイロ1号内に潜みながら、他のサイロとの通信を試みます。

そしてついにジュリエットが掘ったトンネルが貫通したとき、サイロ1号の権力者は、サイロ18を滅亡させるスイッチを押すのです。しかしジュリエットとシャーロットは、それぞれ真実に近づいていました。遠く離れたサイロに閉じ込められている2人が出会う日は来るのでしょうか。そして、世界征服の野望を抱いて全人類の命運をコントロールしようとした男たちが、罰せられる日は来るのでしょうか。

「第1部」の新鮮な衝撃や、「第1部冒頭」の短編小説的な完成度の高さと比較すると竜頭蛇尾の感もしますが、一歩間違えると破綻しかねないストーリーを完結させてくれただけでも満足しましょうか。ディストピア小説で、明るさを感じさせてくれるエンディングを導き出すことの難しさはわかっていますので。

2015/12