りぼんの読書ノート

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シフト(ヒュー・ハウイー)

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文明滅亡後の地下世界を描く3部作の第2弾は、前作ウールの前日譚となっています。

近未来の2049年。合衆国の新人議員ドナルドは、実力者の上院議員サーマンから極秘プロジェクトへの参加を要請されます。そのプロジェクトでは、核廃棄物貯蔵施設に付属する非常時用の地下サイロを建設していたはずだったのですが、真相はおそるべきものでした。世界はすでに、死をもたらすナノテク兵器で汚染されて滅亡寸前であり、これは文明を保存するための施設だというのです。そしてXデーが到来します。

2110年。冷凍睡眠から目覚めた男トロイが、地下壕を統括するサイロ1の責任者としてのシフト業務に入ります。彼のミッションは「秩序の書」に従って、100本のサイロ群全体の秩序を維持することでした。暴動が起きたサイロ12をマニュアル通りに閉鎖したトロイは、多くの人間の生命を奪ったことに苦しみます。2212年のシフトの際には、サイロ18で起きた暴動を鎮めることができたのですが、自分の記憶を取り戻して苦しむのでした。

そして2345年。最高権力者の名前で目覚めさせられたトロイ=ドナルドは、サイロが築かれた真相に近づきつつあります。おりしも、サイロ18で清掃の刑に処せられたジュリエットを、モニターから眺めるトロイ=ドナルド。ジュリエットが、30年前に廃墟になっていたサイロ17で唯一生きのびていたジミーと出会うエンディングは、第1部ウールのラスト・シーンに追いつきました。

第1部ほどの迫力も意外性もありませんでしたが、繋ぎの第2部とは、こんなものなのでしょう。第1部と第2部の登場人物たちが一体となって、過去の謎を解き明かし、未来へと一歩を進めるであろう、最終第3部『ダスト』を楽しみに待つことにしましょう。

2015/1