文明が絶えて砂漠化した世界。唯一発達したのは、思念と機材を用いて砂の中に潜り、生活資材や貴重品を掘り出してくる技術のみ。過酷な自然と常態化した暴力に怯えながら、砂漠の中にたった2つ残された町にしがみついて生きています。誰よりも深く潜れる名ダイバーの姉ヴィクを持つ弟のパーマーは、得体のしれない男たちに雇われて、伝説の古代都市ダンバーを発見するのですが・・。
物語はヴィクとパーマーの家族を中心にして進んでいきます。町の長となりながら、東方のノーマンズランドに向かって旅立った父親ファレン。子供たちを育てるために売春宿の女将兼娼婦へと身を落とした母親ローズ。そしてまだ少年の弟コナーとロブの前に、ファレンの娘と名乗る少女がボロボロの姿で現れます。彼女は、険しい山脈を越えて西へと逃れるよう指示する、父親の手紙を携えていました。
いったい東方のノーマンズランドでは何が起こっているのか。ダンバーから原爆らしきものを掘り出した者たちは何を目論んでいるのか。そして山脈を越えた西側はどうなっているのか。物語は、原爆を奪い取ったヴィクが決死の覚悟で東方へと向かったところで終わりますが、続編もありそうです。ディストピア小説で、明るさを感じさせる結末へと導き出すことは、難しいと思うのですが。
2018/8